老後2000万足りない問題は特に問題ではなかった。

今話題の”金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」”を読んでみました。
個人としては特に怒るような内容はありませんでした。
けど内容が雑な感じがしました。
その雑さが誤解を与えてるような印象を持ちました。

問題となった一文。

しかし、収入も年金給付に移行するなどで減少しているため、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。
この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。
引用:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」 P9,10

上記文の下には高齢夫婦無職世帯のデータとして、下記が示されています。

  実収入:209,198円(うち社会保険給付金 191,880円)
  実支出:263,718円
  平均貯蓄:2,484万円

この実収入と実支出の差54,520円を 赤字 と言っているようです。

金はあの世には持っていけない。

金融審議会ワーキンググループの思考ロジックは下記かなと思います。

  1. 調査した結果、支出が26万だった。
  2. 調査した結果、収入が21万だった。
  3. 赤字5万!

雑か!!

このロジックは平均貯蓄で2500万円ある人々の感情をすっとばしている気がします。
2500万円も保有している高齢夫婦はなんのためにお金を貯めたのでしょう。
老後に備えて じゃなかったんでしたっけ。
老後に使うため、とも言えます。

とすると、現実に収入と支出の差がでてるロジックは下記ぐらいが妥当かなと思います。

  1. 年金が21万ぐらい入ってくるようになったなぁ。
  2. 貯金が2500万あるけど、余命って長くて30年ぐらいだよなぁ。
  3. 万一の時の資金として700万ぐらいは横に置いとくか。
  4. 残りの1800万は30年にわけて大事に使おう。(年60万)
  5. 60万/12ヶ月 = 5万 ぐらいは年金プラスαで使えるわー。ご褒美ご褒美。
  6. 支出 = 年金 21万 + ご褒美 5万 = 26万

このロジックでいくと、別に赤字でもなんでもないですよね。
金はあの世には持っていけないんだから、普通は使うんじゃないかと思います。(子孫に残してもいいですが。)

年金がもし5万増えたら解決するのか。いや、しない。

もし5万赤字が正しいとするならば、もし年金運用が超絶うまくいっていて26万円が年金で支給されると仮定した場合、赤字は消えるのでしょうか。
答えは NO でしょう。
収入が増えた分、支出も増えます。

その場合の金融審議会の報告書はおそらく下記になると思います。
実収入:26万円
実支出:31万円

5万円の赤字だ!
そんなバカな。

まとめ

その後、麻生大臣が「赤字ではなく、豊かに暮らすには5万足りない。」という言い直しをされたそうです。
これについてはそうなんだろうなという感じです。
逆に言うと現在の高齢世帯の方々は、自分の豊かな老後(年金+α)の生活を目標に、貯金2500万円を構築されたんだろうなと思います。

現役世代も年金以上の生活を目指すのであれば、自助努力で資産形成する必要があるんじゃないかと思います。(金融審議会が報告書で言いたかった内容もここのようです)

ですが、2000万ためなくても死にません。
年金+αの α 部分がないだけです。

1000万でもいいんです。
年金+α/2 になるだけです。

コツコツ、できる範囲でいいと思います。
頑張りましょう!お互いに!

ではまた。